SNSのプロフィール欄や投稿で、「お仕事の案件はDMまで」「これって案件じゃないの?」といった言葉をよく見かけませんか?
もともとはビジネス用語だった「案件」という言葉ですが、SNSの世界では少し違うニュアンスで、日常的に飛び交うようになっています。その本当の意味と、今さら聞けないSNS用語としての「案件」について整理しました。
なぜみんな「案件」という言葉を使うのか?
本来、「案件」とは「検討すべき問題」や「進行中のプロジェクト」を指す、少しかたいビジネス用語です。会社員の方が「例の案件、どうなってる?」と使うのが標準的な姿でした。
しかし、SNS(Instagram、X、YouTube、TikTokなど)の普及により、この言葉は全く別の顔を持つようになりました。
- 「憧れのインフルエンサーが案件を受けている」
- 「この投稿、実は案件なんじゃない?」
今、ネット上で「案件」と言えば、そのほとんどが「企業から対価をもらって行う宣伝・広告のお仕事」を指しています。なぜ、わざわざ「お仕事」ではなく「案件」と呼ばれるようになったのでしょうか。
SNSにおける「案件」の正体
SNSの世界での案件は、具体的には「ギフティング」や「タイアップ広告」のことを指します。
企業からのラブレター
企業が自社の商品を広めたいとき、フォロワー数が多い人や、特定の発信に強い人に「この商品を紹介してくれませんか?」と依頼します。これがSNSにおける「案件」の始まりです。
報酬の形はいろいろ
案件の報酬は、必ずしも現金とは限りません。
- 商品提供: 「新作のコスメを差し上げるので、感想を投稿してください」というもの。
- 謝礼金: 投稿1件につき数万円〜数百万円という報酬が発生するもの。
- 招待: 「新しくオープンするホテルに無料で招待するので、魅力を伝えてください」というもの。
これらすべてをひっくるめて、発信者側は「案件をいただいた」と表現します。
「案件」と「ステマ」の境界線
ここで注意したいのが、数年前から厳しくチェックされるようになった「ステルスマーケティング(ステマ)」との関係です。
隠すと「炎上」の元に
企業からお金や商品をもらっているのに、それを隠して「自分で買ってみて、最高でした!」と投稿するのがステマです。これは消費者を騙す行為として、現在は法律(景品表示法)でも厳しく制限されています。
潔く「#PR」と書くのが今のルール
今のSNSでは、案件を受けた場合は「#PR」「#広告」「#提供」といったハッシュタグを付けるのがマナーであり、義務です。 最近では視聴者の目も肥えており、「案件であることを隠して嘘をつく人」よりも、「案件であることを明かした上で、自分の言葉で正直にレビューする人」の方が信頼されるようになっています。
なぜ「案件」という言葉が広まったのか?
「お仕事」や「広告」という言葉を使わずに「案件」と呼ぶ背景には、日本特有の「控えめな文化」があるのかもしれません。
「お金をもらって宣伝しています!」とストレートに言うのは、どこか生々しい。でも「案件です」と言えば、どこかプロフェッショナルな響きがあり、ビジネスライクに聞こえます。
また、インフルエンサーを「職業」として確立させるために、業界用語っぽく「案件」という言葉が便利に使われ、それが一般の視聴者にも浸透していったという側面もあります。
結論:案件は「信頼」で成り立っている
視聴者からすれば、好きなインフルエンサーが案件ばかり受けていると「お金目的なのかな?」と寂しく感じることもあるかもしれません。
しかし、本来「案件」は、企業がその人の発信力やセンスを認めたからこそ発生するものです。
- 発信者: 良い商品を紹介して活動費を得る。
- 企業: ターゲットに効率よく商品を知らせる。
- 視聴者: 自分の好きな人が選んだ、質の高い商品情報を知る。
この3者が納得できる形であれば、案件は決して悪いものではありません。
次にSNSで「案件」という言葉を見かけたら、それが「嘘のないおすすめ」なのかどうか、その人の言葉をじっくり読んでみてはいかがでしょうか?
